前進座のあゆみ 

 

前進座は 1931 年(昭和 6 年)若き歌舞伎俳優を中心に創立されました。激動の時代の中で、志高く旗揚げし、圧倒的なエネルギーで多彩なレパートリーを創造、全国各地に届けてきました。

舞台作品にとどまらず、映画にも進出、「人情紙風船」(監督:山中貞雄)「元禄忠臣蔵」(監督:溝口健二)などの名作、独立プロダクション作品「どっこい生きてる」(監督:今井正)等に総出演をしました。

また戦後間もない時期から、若い世代に文化を届けるために「青年劇場運動」を展開、全国を巡演、歌舞伎だけではなく、シェイクスピアの作品や『レ・ミゼラブル』などの名作を舞台化しました。

70 年代には時代劇を中心に TV ドラマでも活躍。中村梅之助が NHK 大河ドラマ「花神」や、「遠山の金さん」「伝七捕物帳」などに主演、国民的なスターになりました。80 年代からは東京・国立劇場大劇場で定期公演を行い、歌舞伎の通し上演などで注目されてきました。

歌舞伎、歴史劇、時代劇、児童向けのお芝居など、大都市のホールから小中学校の体育館まで、多彩な舞台をお届けしております。

 

 


旗揚げ公演ポスター
 
創立総会
 
   

より詳しい前進座の歴史はこちら

 

主な受賞歴

1948 年   朝日文化賞 青年劇場運動に対して
1954 年   文部省芸術祭奨励賞 五世嵐芳三郎『寺子屋』
1975 年   文化庁芸術祭優秀賞 児童福祉文化賞『 さんしょう太夫一説経節よりー』
1981 年   毎日芸術賞 河原崎国太郎『切られお富』
1984 年   菊田一夫演劇賞 いまむらいづみ『エリザベス・サンダースホーム物語』
1986 年   紀伊國屋演劇賞 嵐圭史『子午線の祀り』
1993 年    松尾芸能賞 優秀賞 中村梅之助
2008 年   第7 回朝日舞台芸術賞・特別賞 中村梅之助
2010 年   芸術選奨文部科学大臣賞 嵐圭史『江戸城総攻』
他、芸術祭賞、児童福祉文化賞、等多数。

 


『俊寛』中村梅之助
 
『切られお富』
五世 河原崎国太郎

どこにも負けない多彩なレパートリー 

歌舞伎

レパートリーの柱となっているのが歌舞伎作品です。『勧進帳』『鳴神』などの歌舞伎十八番、『お染の七役』『東海道四谷怪談』(鶴屋南北作)『三人吉三』(河竹黙阿弥作)、そして落語を元にした作品『人情噺 文七元結』『唐茄子屋』など、前進座ならではの工夫と演出で本格的な歌舞伎作品を創造しています。

 


『東海道四谷怪談』
 
『唐茄子屋』

時代劇・文芸作品

『さぶ』『赤ひげ』など、18 作品にのぼる山本周五郎作品、『五重塔』(幸田露伴原作)『阿部一族』(森鴎外原作)などの骨太の文芸作品を舞台化してきました。また、中世の説経節をもとに創造した『さんしょう太夫一説経節よりー』は 1000 回を超えて上演を重ねています。最近は落語を元に創作した『一万石の恋』(山田洋次脚本・監修)などの喜劇作品も好評をいただいております。

 


『さんしょう太夫ー説経節よりー』
 
『一万石の恋』

現代劇

『母』(三浦綾子原作)が全国を巡演。また、五木寛之氏・ジェームス三木氏の書下ろし作品を多数上演。 画家いわさきちひろの青春を描いた『ちひろ一私、絵と結婚するのー』(松本猛原案)、戦争と平和をテーマにした『南の島に雪が降る』(加東大介原作)『銃口』(三浦綾子原作)などの作品も、各地で上演を重ねました。

 


『ちひろー私、絵と結婚するのー』
 
『南の島に雪が降る』

児童・青少年向け演劇・歌舞伎

『牛若丸』、『土蜘蛛退治』など、歌舞伎の楽しさと見どころ満載の創作歌舞伎、『花木村月夜奇妙ーどろぼうたちの月の夜一』(新見南吉原作)『かんがえるカエルくん』(いわむらかずお原作)『龍の子太郎』(松谷みよ子原作)など、日本の民話や児童文学、絵本を原作とする作品をコンスタントに発表しています。また『くず~い 屑屋でござい』は落語「井戸の茶碗」をもとに、江戸の人情とエコロジーをテーマに 900 回を超えて上演を重ねています。

 


『くず~い 屑屋でござい』
 
『かんがえるカエルくん』

朗読劇・ワークショップ

公共文化施設、学校、各種イベントなどで、歌舞伎ワークショップを開催。参加型のものから講演まで、様々な形で和の文化を発信しています。また、『松本清張朗読劇シリーズ』(松本清張記念館プロデュース)は 20年を越えて上演を重ねています。『死んでもブレストを』(早乙女勝元原作)などの戦争と平和をテーマにした朗読公演も好評をいただいています。

 


『松本清張朗読劇シリーズ』
 
歌舞伎ワークショップ

 

社会貢献活動 

■ 誰もが生の舞台芸術に触れる機会を

朗読劇への招待公演

文学館での企画公演としてスタートした朗読劇公演。目の不自由な方も等しく楽しめる演劇として、『松本清張朗読劇シリーズ』公演では、視覚障害者団体を通じて招待を実施しました。

お子様への招待公演

絵本を原作とした『まげすけさんとしゃべるどうぐ』公演では、劇場でお芝居を観る機会が得られないお子様に向けて観劇会を企画。近隣の企業に協賛を募り、児童養護施設の皆さんを招待しました。

闘病中の方とのバリアフリー観劇会

『赤ひげ』公演では、病院との協働企画として、入院している患者さんも観劇できるよう、通常の客席を取り外し、ストレッチャーや車椅子のまま観られるスペースを広げて確保。劇場には医師が控え、ケア体制を整えて観劇会を実施しました。


■ 武蔵野市の観光大使として 吉祥寺を拠点に全国へ発信

1937 年(昭和 12 年)、武蔵野市吉祥寺南町に「前進座演劇映画研究所」を開所以来、地元の皆様からあたたかいご支援をうけ、地域交流を大切に歩んできました。現在は、吉祥寺駅にほど近い劇団前進座ビルに、稽古場・事務所を構え、活動しています。また、武蔵野市の魅力を市の内外に向けて PR する「武蔵野市観光機構親善大使」に、「劇団前進座」として任命されています。

■ 被災地への義援金募金活動

東日本大震災、熊本地震、能登半島地震の際、各公演地で義援金募金を呼びかけました。お預かりした義援金は、日本赤十字社を通じて、被災地へお届けしました。 また、文化芸術団体への支援として、被災した現地の各演劇鑑賞会・子ども劇場おやこ劇場等へもお届けしております。

 

座歌・座章 

座歌

創立 5 周年を記念して、北原白秋氏の作詩、山田耕筰氏の作曲により誕生。現在も 5 月 22 日の創立記念日など折あるごとに歌い継がれています。

 



 

座章

シンボルマークである座章は、舞台美術家・伊藤熹朔氏によるデザイン。
前進を表す矢印に悲劇と喜劇の仮面をあしらったものです。