
かいせつ・あらすじ
長編『あかんべえ』を書いていたころは、私の仕事歴のなかでも、ファンタジー熱がいちばん高まっていた時期でした。それは多分にテレビゲームのファンタジーものからの影響があったわけですが、自分の作品を創りあげるときには、やっぱり自分らしい色合いを出したいと思い、そうすると必然的に時代ミステリーの要素が前面に出てきました。
また、子供が大事なキャラクターとして登場する作品は、同じくらいの年代の子供さんに読んでもらいたいという思いもあり、言葉づかいや出来事の説明に気をつけるようにしました。それが上手くいったのかどうか、当時はまったくの手探りでしたし、今になって読み返してみましても、自分では判断がつかなくて曖昧なままです。
今回、前進座さんのプロデュースで『あかんべえ』が舞台化され、私が迷ったり楽しんだり頭を抱えたり、たまには一人でにんまり笑ったりしながらこしらえた訳ありの「おばけさん」たちが、生身の役者さんたちの力で現のものとなります。それが何よりも嬉しく、有り難く、心から楽しみにしております。
江戸・深川海辺大工町「料理屋ふね屋」には、五人の「お化けたち」が、なぜか成仏できずに彷徨っていた。
ふね屋の一人娘・おりんは、高熱に倒れ死の淵をさまようが命を取りとめる。
その日からおりんには、五人のお化けたちが見えるようになった……。
おりんと語らう中で、お化けたちが留まっている原因が、30年前にこの地で起きたある事件に関わっていることがわかってくる。そして、おりんの他にもお化けさんの姿が見える人がいて…。
「お化けが見える人は、お化けと同じ心の〝しこり〟を持っている」
ふね屋につどった人々の"心のしこり"が様々な形で現れ、次々と思いがけない出来事が襲ってくる。傷つき打ちひしがれながらも、ふね屋の人々もお化けたちも、互いに相手を思いやることで乗り越えていく─。
「人は、つながり合って生きてゆける」
人と人との絆が分断されがちな現代に贈る、ファンタジック・ミステリー!
幅広い層から絶大な人気を得る宮部みゆきワールド。
脚本には演出家・俳優としても活躍中の佃典彦氏。
演出には新劇界で引く手あまたの演出家・松本祐子氏。
前進座俳優陣と宮部氏、佃氏、松本氏そして前進座が初めてタッグを組む意欲作!
配役・メインスタッフ
おりん | …………… | 山本春美 | ![]() |
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太一郎(おりんの父) | …………… | 渡会元之 | ![]() |
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多恵(おりんの母) | …………… | 上沢美咲 | ![]() |
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おつた(「ふね屋」の女中頭) | …………… | 横澤寛美 | ![]() |
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玄之介(「ふね屋」のお化け) | …………… | 藤井偉策 | ![]() |
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おみつ( 〃 ) | …………… | 北澤知奈美 | ![]() |
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笑い坊( 〃 ) | …………… | 松涛喜八郎 | ![]() |
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おどろ髪( 〃 ) | …………… | 松浦海之介 | ![]() |
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お梅( 〃 ) | …………… | 松川悠子 | ![]() |
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孫兵衛(長屋の差配)/興願寺の住職 | …………… | 柳生啓介 | ![]() |
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ヒネ勝(長屋の少年) | …………… | 玉浦有之祐 | ![]() |
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島次(料理人)/銀次(島次の兄) | …………… | 中嶋宏太郎 | ![]() |
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おたか(島次の女房) | …………… | 黒河内雅子 | ![]() |
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白子屋長兵衛 | …………… | 上滝啓太郎 | ![]() |
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おゆう(白子屋の娘)/お静(白子屋の娘) | …………… | 有田佳代 | ![]() |
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浅田屋為治郎 | …………… | 寺田昌樹 | ![]() |
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原作 | = | 宮部みゆき | |||
脚本 | = | 佃典彦(劇団B級遊撃隊) | |||
演出 | = | 松本祐子(文学座) | |||
美術 | = | 乘峯雅寛 | |||
照明 | = | 桜井真澄 | |||
音楽 | = | 日高哲英 | |||
効果 | = | 横山あさひ | |||
アクション | = | 渥美博 | |||
ステージング | 佐藤薫 | ||||
舞台監督 | = | 中橋耕史 |