「歌舞伎っていう素晴らしい日本の演劇の伝統の上に乗っかった新しい演劇っていうかな、わかりやすくて平明で誰もが楽しめるってものを作ってほしい。
僕は、楽しい喜劇を前進座が創造してくれるといいなあと思いますね、本当に笑える舞台ね……今、日本人は笑いたいのよ、でも笑わせるってことはとても難しいことでね。それは、笑わせる方が、観客と同じような苦しみや生きる辛さを共有していないといけないからね。前進座にはその資格があるような気がするな……」
2011年放送 NHK「芸能百花繚乱─前進座八十年の軌跡」での山田監督のコメントより
山田監督にとって郷里の山口にいた頃から前進座は憧れの劇団。大学時代には前進座製作の独立プロ映画『箱根風雲録』にエキストラで参加したことも。その後、監督のいくつもの映画に前進座の俳優たちが出演。いつか一緒に舞台をと長年願っていたものが、『裏長屋騒動記』で実現。さらに第二作『一万石の恋』と続く。”前進座には本当に笑える楽しい喜劇を“という監督の思いとともに、この度も奮闘努力いたします。