僕たちにとっての『髪結新三』
今回の公演には演技部研修生の2人の精鋭が演出部付きとして参加しています。
現場を経験することできっと良い役者に育ってくれることでしょう。
秋には『五重塔』の出演も決まっている2人が語る、
―― 僕たちにとっての 『髪結新三』 ―― とは…。
前進座劇場で、舞台図面ときっかけ表を渡されて、いきなりの稽古入り、僕にとっては稽古初日でも、皆にとっては舞台稽古の数日前。
最初に教わったのが花道の揚幕を開けること。僕は駕籠屋さんが揚幕に入ってくるきっかけを任された。右も左もわからず、揚幕をつかむ手に力が入る。「えい、ほ、えい、ほ…」と迫ってくる駕籠に恐怖心を感じた。だけど思い切って幕を開けた。「シャーッ」教わったようなきれいな音は出なかった。ほっとする間もなくすぐに幕を閉める。「シャリーン」今度はなかなか良い音だった。終わったぁ、と思った次の瞬間「そこ、閉めないでぇー」と車力の善八さんの声が!あわててもう一回開けて、閉めた。善八さんも通ってから閉めなくてはいけなかったのだ。
そんなこんなでスタートし、その後もミスがいっぱい…。はじめに上手くなったのは「嶋田ァ!」の声にこたえる「はい」と「すみません」。家に帰ってから、悔しさに涙したり、唇を噛み締める日が続いた。しかしそれを乗り越えなければ明日はない。
裏方さんのお手伝いをしていて一番うれしい時は、お客さんの笑い声が舞台の袖まで聞こえてくる時です。陰で支えてくれている人たちの気持ちを少しでも体感できたのは、今後の役者人生にきっとプラスになると思います。今回の経験を生かして秋の「五重塔」公演では役者として頑張っていきたいと思います。
【嶋田 暁人(演技部研修生) 記】
研修生の藤井偉策です。只今、「髪結新三」公演班に演出部として参加して勉強しています。劇団の公演活動に参加するのは初めてで、わからない事だらけです。怒られながら仕事を覚えています。
空いた時間は演技部の先輩に混ざり、とんぼ返りや「白浪五人男」の台詞や所作、そして今度出演する「五重塔」で歌う“木遣り”の稽古をしています。秋の「五重塔」では仙之助役で前進座公演初舞台です。皆様よろしくお願いします!
【藤井 偉策(演技部研修生) 記】