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* 気分はすっかり『江戸庶民』 *
「深川のゑんま堂に集合ね。」どうでしょう、この響き。たったこれだけの言葉で、気分は江戸時代にタイム・スリップしてしまいますよね。私たちは、4月11日に『髪結新三』の事前学習会として、深川の「ゑんま堂」と「深川江戸資料館」を訪ねました。
「ゑんま堂」なんて聞くと、何か薄暗くてオドロオドロしいものを想像してしまいますが、私たちを最初に出迎えてくれたのは、‘極楽浄土’の世界を演出した床と壁に囲まれた堂内に座る、高さ3.5メートル、重量1.5トンの巨大な『閻魔大王様』! この閻魔大王様は、日本で一番大きく、また、お賽銭を投入するとライトアップされて堂内に説法が響きわたる…という『ハイテク閻魔様』なんですよ。お賽銭の投入口も13種類の願い事別になっていて、説法もそれに応じて40種類もあるそうです。訪れたメンバーも、それぞれの願い事に合わせてお賽を入れ、ありがたい説法を聞いておりました。なかには‘縁結び’を願う人も…。
さてそれが済みますといよいよ御住職様のお話。これがまた面白いんですよ。『髪結新三』の学習会で行ったのに、話し出しは「日本とアメリカの宗教観の違い」から。
そこからどんどん発展して、江戸庶民の宗教観や生活・生き方などを楽しく分かりやすく話して下さいました。江戸時代の人達は、今と違って大変寿命が短かったですよね。だから、一日一日を大切に、熱く生きていた。『髪結新三』に登場する人物も自分の短い一生を楽しく生きる為に必死だったんでしょうね。
今回沢山の話を聞きましたが、そのなかで私が一番心に残った話しを一つ紹介しようと思います。
例えば、お祭りが好きな人っていますよね。その人にとってお祭りで神輿を担ぐというのは‘晴れの舞台’であり‘晴れ姿’ですよね。その‘晴れの日’のために毎日一生懸命努力をして、自分の一番いい姿を見てもらおうとしたんです。私たちにとって、国立劇場の大舞台に立って沢山のお客様に芝居を観て頂くことは、まさに‘晴れ舞台’。上演時間3時間45分のために毎日必死になって努力しなければならない。あたり前のことですが、今の自分には不足している事が多いなと、改めて考えさせられました。必死に生きた江戸時代の人たちを舞台で表現する為には、普段の私ももっと必死に生きなければならないですね。そして沢山のお客様に‘晴れ舞台’‘晴れ姿’を観て頂きたいなと思いました。
気持ちも引き締まったところで「ゑんま堂」を後にして、「深川江戸資料館」へ。ここには、下町の長屋などが原寸大で飾られておりました。珍しそうに見学している外国人観光客を横目に、長屋ものの芝居に出演している前進座の面々は見慣れたセットにすっかりリラックス。井戸を囲んで、文字通り‘井戸端会議’をしている姿も…。
『お染の七役』や『左の腕』で茶屋女を勤めた私も、茶屋のセットは「やっぱ、落ち着くわ〜。」
そんなこんなで、‘江戸下町気分’に浸かった私たち。今年の国立劇場公演は、今までとは少し違った前進座が観られるかも!お楽しみに!
そうだ、芝居を観る前に皆さんも一度出掛けてみてはいかがですか?旧閻魔堂橋の跡には『髪結新三』の絵もあったり…。気分はすっかり『江戸庶民』! 【山崎杏佳 記】
《写真とコメント 栗沢 学》
※写真をクリックすると拡大表示されます。 |
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■こちらがハイテク閻魔様でございます。 |
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■周りを見ると、色鮮やかな花園、滝、雷、光のオーロラ、壁面はもちろん強化ガラス
の床にまで描き尽くされて目にまばゆい。臨死体験した信者さん達の話をモチーフに
デザインしたそうです。 |
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■岩本慈海住職のお話に熱心に耳を傾ける一同。
「ありがとうございました。」 |
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■到着。さっそく中へ…。 |
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