いよいよ『お登勢』四国巡演が始まりました。
3月17日〜4月7日まで18ステージ。
丸亀から始まり、高松、高知、須崎、松山、今治、鳴門、阿南、徳島、そして奈良で終わります。
二年振りの再演、そして初の巡演です。
キャストは若手に変更があった以外は、ほぼ前回と同じメンバー。
稽古日数が少なく厳しい条件でしたが、皆集中して良い仕上がりになって来ています。
物語の地元である四国のお客様の、乗りの良い温かい反応にも助けられ、初日に芝居の雰囲気が変わり、リアル感が出て来ました。
この芝居の呼び物である【木偶人形】(でこにんぎょう=淡路島ではそう呼ぶ)。
要所要所で、お登勢と津田貢をこの人形で表現します。
文楽人形より少し大きい人形で、文楽と同じ様に一体を三人で扱います。
専門の人形遣が扱うのではなく、この芝居で夫々に役を演じている、劇団の若手俳優が、人形遣もやるのです。
お登勢は、頭と右手を又野佐紋、左手を亀井栄克、足を鈴木大。
津田貢は、頭と右手を中嶋宏幸、左手を新村宗二郎、足を石田聡。
夫々に自分の役を演じ、人形も扱います。
扱いは大変難しいです。
三人が義太夫をしっかり聞きながら、同じ思いで同じ呼吸をし、一人の人間を表現するのです。
メンバーは一昨年の初演で猛特訓し、驚異的な習得を実現しました。
但し今回は津田貢の人形の足と左手を扱うメンバーが替わりました。
最初は本当に大苦戦しましたが、何とか初日には漕ぎ着けました。
写真は、初日開演前に劇場ロビーで稽古を繰り返す【若手人形遣役者】たち。
彼らの技術上達は目を見張る物があります。
役者をしている時より数段早く進歩し、何倍も素敵な顔をしています。(笑)
人形は呼吸をしませんから、決まり所がビシッと決まります。
思いが凝縮して見えるのです。
お客さんの目は人形に釘付けです。
旅の終わり頃には、前回の様に大評判を取っていることでしょう。
人間は、人形に負けない様にしっかり演じなければなりませんね。
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