古来、三番叟は初春の声であった。
ぴたりと揃った動きと“瞳(まなこ)”に溢れる気迫。種蒔きから五穀豊穣を祈念する勇壮な舞へと盛り上がる中――――
そこに降り出す突然の雪。精根尽き果てそうになる一人を四人が励ましながら、一気にクライマックスへ。
京都南座では初御目見得となる、前進座女優による、力強くも華やかな舞踊をお楽しみください。
長崎で蘭法(オランダ)医術を学び、江戸に戻ってきた若き医師、保本登。彼には幕府お目見医の席が用意されているはずだった。
ところが、貧民施療院である小石川養生所に呼び出され、医長の“赤ひげ”こと新出去定に、有無を言わさず住み込みの見習医を命じられる。
登は自暴自棄となり、禁制の酒に手を出すなど、赤ひげへの反発を繰り返した。
婚約者の妹まさを、むじな長屋に住む悲しい過去を持つ佐八、一家心中する五郎吉とおふみ……
赤ひげの貧しい人たちに対する治療姿、真摯な生き方に触れ、登の閉ざされた心は徐々に開かれていく。
あやめ、彼岸花、菊と季節は移る――
それぞれの過去を背負う人々との出会いと別れ。
登が感じたものとは――
そして登が選んだ生き方とは――
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