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昭和12年、竜太は炭鉱町の幌志内小学校に教師として赴任。ちょうど日本軍が中国へ本格的な侵攻を開始した年である。
日に日に軍事色が強まる中、教師として思い悩む竜太だったが、同じく教師となっていた幼なじみの芳子と励まし合い、二人は将来結婚することを誓う。

昭和16年正月、竜太は突然、特高に連行された。「北海道綴方教育連盟」の集会に参加したことが、治安維持法に触れるとされたのである。
執拗な尋問と拷問の果て、竜太は退職願に署名させられてしまう。そして牢獄の中で見る影もない坂部先生に引き合わされる。
「苦しくても、人間として良心を失わずに生きるんだ。時代を見通す目を持つんだ。」
それが坂部先生の最後の声となった。

釈放されたものの、芳子との挙式直前に満州へと召集されてしまう竜太。
軍隊では、非人間的仕打ちを目の当りにする日々であったが、何かとかばってくれる近堂上等兵との交流は、竜太の心をいやすのだった。

昭和20年8月。日本は敗戦。ソ連軍の侵攻とともに、日本軍の敗走が始まる。
竜太たちは、朝鮮の抗日パルチザンに取り囲まれる・・・。
奇跡的に日本へ戻ることができた竜太は、再び教壇への復帰を決意する。
 

舞台写真撮影=渡辺文雄