表向きは絹問屋、実は盗賊、観音久次こと赤間源左衛門〔梅之助〕。その手代、蝙蝠(こうもり)の安蔵〔矢之輔〕は、悪い仲間と示しあわせ、今日こそ赤間の妾お富〔國太郎〕への思いを遂げようと辻堂前で・・・。
あわやというとき、かつて木更津の船中で見初め、契(ちぎ)りを交わした浪人の井筒与三郎〔広也改め七代目芳三郎〕が来かかり助けられる。激しい雷鳴。二人は辻堂へ・・・。
その密会を知った赤間はお富をなぶり切りにするが、安蔵はこれを助け、薩埵峠(さつたとうげ)に茶店を出して同棲する。
たまたま通りかかった与三郎が自分の主筋の子息であり、名刀北斗丸を探し求める浪々の身で、買い戻す二百両に窮しているとわかり、お富はその調達を引き受ける。
安蔵とぐるになり、今は府中の弥勒(みろく)町で女郎屋の主人におさまっている赤間の弱みをつき、二百両を強請りとる。
その女郎屋へ客としてあがり、様子をうかがう侍舟穂幸十郎〔圭史〕。
帰りみち、お富と安蔵は畜生塚で金を奪いあい、安蔵は傘を、お富は出刃をかざして立ち廻り・・・。
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