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あらすじ

朝鮮半島、大邱近くの小さな村に住む二人の兄妹、テヨル(竹下雅臣)とスンヒィ(池田舞美)。二人は、教頭をしているアボジ(武井茂)と料理の得意なオモニ(浜名実貴)、印刷業をしている叔父さん(渡会元之)の5人家族だ。テヨルは乗り物が好きな14歳。くずの中から部品をみつけ、今は叔父さんと自転車を組み立てている。10歳になる妹のスンヒィは好奇心旺盛で勉強好き。二人の兄妹は今日も元気だ。しかし、そんな二人の背景にはいつも日本の強引な統治の影が付きまとっていた。

日本が朝鮮を統治してすでに30年。日本はこれまでに皇民化政策により、朝鮮人らしさを奪ってきた。二人は自国の国旗も言葉も知らずに育っている。そして、1940年、創氏改名により日本が奪ったものは名前だった。日本は戦局の深まりに、朝鮮の早期“日本人化”を推し進めていくことになる。
ある日、憲兵(松浦豊和)が現れ、強制したものは木槿の伐採だった。木槿は朝鮮人の民族意識を高める花として、敵視したのである。この家の木槿は、オモニが記念日ごとに大切に植えてきたもの。兄妹はオモニの心を受け、こっそりと木槿を隠すのだった。

印刷所を経営している叔父さんは抗日運動をしていた。ある日、スンヒィの幼馴染である日本人の友くん(松永ひろむ)が叔父さんの危険を知らせてくれる。叔父さんはスンヒィの忠告を受けその日のうちに姿を隠したのだが、友くんの知らせは、叔父さんの危険を知らせるものではないことが後々分かることになる。叔父さんはスンヒィの勘違いによって、逃亡することになってしまったのだった。

叔父の失踪の後も、兄妹の困難は続いた。テヨルの大切な自転車を日本人に奪われ、スンヒィが書き続けてきた日記帳は家宅捜索により燃やされる。テヨルは、何も抵抗することなく受け入れるアボジを叔父さんとは違う“親日派”であると思い込んでしまう。そして、とうとう、テヨルは飛行機に乗りたい一心で特攻兵に志願をして……

少しずつ離れていく家族の絆。家族の庭に再び、木槿の花が咲くことはあるのだろうかー。