栄えたり。
神はノアに語り給い、
「なぁお前、世の中ちゅうもんはそんな甘いもんやおまへんねャ」
「四十日の大水にてこの世の汚れを流し去れば、信心深き汝らは、
箱舟つくり、とり獣、ひとつがいずつ乗り込ませ、裁きの刻に備えよかし」
(中略)
ノアと家族と鳥けもの、漸く乾きし恵みの地に降り立ち給えば、
「かような滅びは二度となし、我、汝らに契らん」と神の御声の彼方には
赤燈黄緑青藍紫
一糸乱れず紡ぎ出る虹の柱は天と地とを
結ぶ励みと太平のしるしとこそは
輝けり
時は移りて江戸末期、英国ぐれえと・ぶりてんの、
島のなかばに織物の
産地と音に聞こえたる
ろっちでえるの物語。
不況不振の産業に昨日は三人今日は五人
リストラされるは数知れず
貧しさを質に置いての買い物は、混ぜ物をした小麦粉に
お茶を濁したティーばかり。
「始めなければ始まらない」
爪にともした火種から
僅かな銭を工面して
ろっちでえるの二十八人
開く小さき店の戸は
未来を開く虹の道
後にコープと
協同の想い
芽吹きたり
火種は虹の架け橋と
海山こえて外つ国に飛び
燎原の火となれり
過ぐるは 一つと半世紀
色は互いに異なれど
一つに紡ぐ
太平の誓いを虹の旗として
四辺を照らし盛りける
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